7月号タイムスより
編集長 2023- 7- 3 Mon
今月の看護師コラムは Hiromiさん が担当します。
* * * * *
梅雨が明けると本格的な夏がきますね。
今年は8月前半に暑さのピークがやってくるという情報もあり、今から戦々恐々としています。
では、今回はこの時期一番注意して頂きたい「熱中症」についてお話したいと思います。
熱中症とは高い気温や湿度によって体温が上がり、高体温及び脱水によって全身に生じる症状のことをいいます。
重症になると臓器がダメージを受け、多臓器不全により死に至ることもある病気です。
犬や猫達は人と違い、体全体で汗をかいて体温調節することが出来ない為、気にかけてあげる必要があります。
特にパグやフレンチブルなど短頭種と呼ばれる犬種は体温を下げるのが苦手です。
猫ではペルシャやヒマラヤンなどの鼻ぺちゃさん達も同じく注意が必要です。
また、種類にかかわらず肥満の子は体内の熱が外へ逃げにくいので要注意です。
【症状】
初期症状としては、口を開けて激しい呼吸をする(特に猫の場合はこの症状があるようなら危険です)、よだれ、ふらつき、目や口の中の充血、ぐったりしている、食欲がない、体が熱いなどです。
症状が悪化すると、嘔吐や下痢、吐血、下血、血尿、痙攣、チアノーゼ、意識がなく呼びかけに反応しなくなるなど大変危険な状態となります。
【応急処置】
熱中症の疑いがある場合は一刻も早く体温を下げる必要があります。
・水を飲ませる(自分から飲まないときは無理に飲ませない)
・涼しい場所で風を送る(濡らしたタオルで体を包み風を当てると効果的です)
・タオルに包んだ保冷剤で体を冷やす
(首の下、脇の下、後ろ足の付け根の内側など太い血管があるところを冷やしてください)
これらの応急処置を行ったら早く病院に連れて行き、治療を受けさせてあげて下さい。
【熱中症の予防・対策】
<室内の温度と湿度管理>
犬の適温は18〜26℃程度。猫は27〜28℃程度です。
ただし温度が適温でも湿度が高いと熱中症の危険がでます。
湿度は50〜60%程度が目安です。
また、高い所にこもった暑い空気と床にたまった冷たい空気を循環させるように扇風機などを併用して室内の空気を循環させるようにしましょう。
<お散歩は気温と路面の温度に注意>
朝夕涼しい時間になってもアスファルトや地面を触ると熱いことがあります。
体高が低い犬達は照り返しを受けやすく、私たちが思っている以上に暑さを感じていることがあります。
お散歩前に路面の温度も気にしましょう。
また、タオルで包んだ保冷剤を首に捲くことでお散歩時の熱中症予防になります。
最近は様々な冷感グッズが販売されていますので、それらを活用し、工夫しながらお散歩をしてあげて下さい。
<こまめにブラッシングをする>
特に柴犬など、被毛が※ダブルコートになっている子や毛量の多い子、毛玉がある子はそれだけで熱がこもりやすくなります。
犬も猫もしっかりブラッシングをして浮いている毛は取り除き、もつれはほどいてあげましょう。※ダブルコートとは、役割の違う2種類の毛が生えていること。換毛期には大量の抜け毛があります。
<水分を摂る>
お水はいつでも飲めるように食器は数か所に置くようにして下さい。
特に腎臓病などの持病のある子や高齢の子は脱水しやすいので、あまり水を飲まない子は缶詰やパウチタイプの水分が多く含まれている食事を利用するなどして、少しでも多く水分が摂れるように工夫してあげてください。
熱中症は重症になると命の危険がある病気ですが、対策をすることで防ぐことができます。
日頃から環境を整え、体調の変化をよく観察しながら暑い夏を乗り切りましょう。
[1]次へ
[2]もどる