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ポピュラーであること 2019年 1月13日(日) 00:22
年末年始の休業期間の過ごし方は人それぞれである。私の場合、もちろん、普通におせち料理を楽しんだり、料理をしたり、墓参りに行ったりすることもあるが、読書や読譜をすることが多い。実は、あまりピアノを練習しない。まとまった時間でできる読書や読譜は、普段の忙しいときにはなかなかやることが難しい、ある種の知見を深めることにつながるからである。
昨年は、ベートーヴェンのピアノソナタのかなりの量の読譜をしてみたが、久しぶりに読んでみると、当然のことながら、以前とは違う風景が見えてきた。今年はバッハの平均律の一部とラフマニノフのピアノ作品の読譜をしてみたが、ラフマニノフの音楽語法にはかなりの英知があり、人口に膾炙した多くの作品の印象と異なり、作品によってはかなり難渋なものであった。そもそもラフマニノフは生涯にわたって機能和声から逸脱しなかったわけだが、同時代の他の作曲家達に比べて語法が古いことは否めない。それは言い方を変えれば、伝統的な手法で過去の偉大な作曲家達の作品と対峙することが求められる。これは、たとえば12音技法や移調の限られた旋法その他をはじめとする新しい音楽語法を用いた作曲家に比べ、ある意味では困難な道を歩んでいることになる。
しかし、新らしい音楽語法で作曲した同時代の作曲家の作品とラフマニノフの作品では、ラフマニノフの方がポピュラーであるということは興味深い。芸術的な先進性や独創性が必ずしも市民権を得るとは限らないのである。


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