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看護師コラム


タイムス8月号より歯周病に関して、看護師 Masamiさんのコラムです。


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今回は「歯周病」についてお話ししようと思います。

ワンちゃんネコちゃんのお口に関する病気の中で最も多いのが歯周病です。

3歳以上になると約80%もの子が歯周病に罹っていると言われています。


それではまず、<犬や猫の口腔内環境>を人と比較してご説明します。

私達人間はお米や小麦などの炭水化物をよく食べるため、唾液中には炭水化物を糖に分解する「アミラーゼ」という消化酵素があります。

人とは食性の違う犬や猫の唾液の中にはありません。

アミラーゼによって出来た糖は虫歯菌のエサになります。

人の口の中のpHは6.8で弱酸性です。

一方、犬のpHは8〜9、猫は7〜8で共に弱アルカリ性です。虫歯菌は酸性の環境を好み、歯周病菌はアルカリ性の環境を好みます。

又、アルカリ性の環境では石灰化が早く進むため犬や猫は人に比べて虫歯になり難い反面、歯石が付き易く歯周病になり易い
と言えます。

どのくらい歯石が付き易いかというと、人では2〜3週間掛かるところ犬や猫では3日で歯垢が歯石になってしまうと言われています。



次に<歯周病について>ですが、食後8時間程の間に口の中の細菌が歯の表面に付着し増殖することで歯垢が形成されます。

その後歯垢に唾液中のカルシウムやリン酸などが結合して石灰化することで歯石になります。

歯石は表面がザラザラしているためその上に更に歯垢が付き易い状態となります。

歯垢は細菌の塊なので付着すると歯肉に炎症を起こして歯周ポケットを作り、さらに進行していくと細菌が歯を支えている歯槽骨という骨にまで波及して骨を溶かし、最終的には歯が抜けてしまったり顎の骨が折れてしまうこともあります。

時には口と鼻の間にある骨が溶けて瘻管という通り道が出来てしまいクシャミが出たり膿の様な鼻水や鼻血が出るようになってしまったり、炎症で顔が腫れたり頬の皮膚が破れて膿が出ることもあります。

この様な症状を引き起こす歯周病は重度になると強い痛みで食事が摂れなくなるなどQOLを著しく低下させます。

更に歯周病菌は口の中で悪さをするだけでなく、歯肉の血管から入り込んで全身をめぐり心臓、腎臓、肝臓へも悪影響を及ぼしますので
単なる口の病気と侮ることは出来ません。


ご存知の方も多いと思いますが、人では「8020運動」と言って80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという運動が推進されています。

日本歯科医師会の報告によれば、20本以上自分の歯が残っている人の方がQOLを良好に保ちながら寿命も長いという調査結果があるそうです。

このように、お口の健康は寿命にも関わる重要な問題です。

ワンちゃんネコちゃんも長生きになったからこそ歯を大切にして、末永く健康に過ごさせてあげてください。


写真左は歯垢と歯石がべったり。
右は麻酔をかけて歯石を除去した後の同じ子の歯です