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看護師コラム


今回は、看護師Hinaさんのコラムです。

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「愛犬・愛猫の元気な姿をいつまでも見ていたい」

それは一緒に過ごしている家族であれば必ずと言ってもいいほど願うことだと思います。

人のお話になりますが、私達の平均寿命は延び続け“人生100年時代”と言われるようになりました。

それに伴い健康寿命をいかに延ばすかということが大きな課題となっています。

そこで今回は、イヌとネコの健康寿命に大きく関わる運動器疾患「変形性関節症(OA)」についてお話ししたいと思います。

  *OAとは英語表記:Osteoarthritis の略です


まず「変形性関節症」とは、肘や膝、股関節などの関節が炎症を起こし、痛みで動かしにくくなる慢性疾患です。

原因は様々な要因が重なり合うことが考えられますが、肥満や老化、外傷、品種などが関与しているとも考えられています。

実はこの病気の有病数はイヌで40%近くあるという報告があり、ネコでは1歳以上で74%、12歳を超えると90%に疑いがあると言われています。

イヌやネコは本能的に痛みを隠す生き物です。

よく動きを観察すると痛みのサインを出しているのかもしれません。

「最近、お散歩時にノロノロ歩く」「以前よりゆっくり立ち上がる」などの動きを見逃さず、少しでも違和感があるようでしたら受診をお勧めいたします。


ではここで、変形性関節症の痛みのチェックリストをご紹介いたします。

上の画像の用紙にご記入の上診察時にご持参頂くと、獣医師と認識を共有できる手助けになりますので、是非ご活用ください。

また、普段の動きを動画で撮影しておくことで動作の変化が比較しやすくなり診断に役立ちます。

チェックリストをご希望の際はどうぞお声がけください。

用紙のQRコードからは治療開始後の実際の動きの違いを動画で見ることができます。


治療に関しては「痛みの緩和」「体重管理」「運動と環境の修正」が中心です。

「痛みの緩和」には、痛み止めの内服や注射などがあります。

「体重管理」は変形性関節症の治療においてとても重要と言われています。

痛みで運動不足になると体重が増え、関節への負担が更に大きくなってしまうからです。

お薬を使う治療と共に食事や適正な運動による体重の管理が必要です。

「運動と環境の修正」については、お散歩の質の見直し、特にネコにおいてはキャットタワーで上下運動ができる環境を作る等が挙げられます。


変形性関節症は進行性の疾患なので早期発見が大事。

それにはご家族の気づきが必要です。

痛みを我慢して生活するワンちゃん、ネコちゃんを少しでも減らし、健康寿命を延ばしてあげましょう!