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ホスピタルタイムス6月号より


看護師 Rukaさんのコラムです。


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桜が散り、気温の高い日が多くなってきました。

だんだん夏に近づくにつれ、体を動かすのが億劫になってくるのは人だけでなく動物達も同じです。

今回は『肥満』についてお話ししていきたいと思います。


肥満とは体内の脂肪が過剰に蓄積した状態を指し、一般的に犬で適正体重が15%以上、猫で20%以上超えた状態を肥満といいます。

例を挙げると、適正体重が5kgの犬がいたとします。

その子が太って体重が5.75kgになった時、適正体重を15%超えた状態となるのです。

でも「肥満だからといってなにが悪いの?」「ぽっちゃりしている方が可愛いし・・」「おねだりされちゃうとついおやつをあげちゃう」など、このような声をよく聞きます。

ですが肥満はれっきとした病気です。

肥満によって更に引き起こされる病気を紹介します。


<糖尿病>

膵臓から分泌されるインスリンの作用不全によって起こる病気です。
遺伝や膵臓疾患でインスリンの分泌自体が減る「T型」と、肥満やストレスによってインスリンが効きにくくなる「U型」がありますが、猫の糖尿病は殆どがU型になります。

<関節疾患>

体重が増えると関節や椎間板、靭帯といった場所に負荷がかかるため関節疾患になりやすくなります。

<呼吸器疾患>

多量の皮下脂肪により気道が狭くなるため呼吸がしにくくなります。
また熱中症になるリスクも上がります。
特にパグやフレンチブルドッグなど、元々気道が狭い犬種は要注意です。


この他にも肥満が関与している病気はありますが、動物は肥満によって体重が増えると体に痛みが生じやすく運動を嫌うようになり、ますます動かなくなってしまいます。

犬の場合は散歩をしたがらなくなるため、更に体重が増えるという悪循環に陥りやすく、元の体型に戻るのがより困難になります。

動物達は体が重くて痛い状態を何とかしたいと思っても自分で痩せることはできません。

同時に自分で太ることもできないので、肥満になる原因には必ず人間がいます。

今一度食事の量があっているか、必要以上のおやつや人間の食べ物を与えていないかを見直してみてください。

そして現在、ペットの肥満体型にお困りの方、どうか独断でご飯の量を減らしたりはしないでください。

今の体型を維持してきた食事量を急に大幅に減らしてしまうと確かにカロリーは減りますが、同時に必要な栄養素まで減ってしまいます。

猫の場合ですと、極端な食事制限で「肝リピドーシス」という病気を引き起こし、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。

ダイエットをしたい、適正体重を知りたい、食事量を見直したいという時は、私たち動物看護師や獣医師にご相談ください。

当院では6月から9月までの4ヶ月間、ダイエットキャンペーンを実施しています。

詳しい内容は看護師にお尋ねください。