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野尻抱影氏が好んだ地口の一節。 人生を洒落て暮らそうという野尻抱影氏の真骨頂。
この地口は氏のオリジナルではなく1907年から1912年まで勤めていた甲府中学時代の教え子、溝口豊氏の作と思われる。溝口氏は地口の会では小言幸兵ヱと称した。野尻氏は同会では能楽亭佐次郎を称した。
野尻抱影氏については本編のHPでも幾たびか触れてきた。 天文民俗学の草分けで、1930年に発見されたPlutoを和名で冥王星と名付けた。1928年に購入した日本光学製の屈折望遠鏡をロングトムと命名して愛した。
そんな野尻氏だったが人一倍冬が苦手だった。氏はそのことを次のように書いている。
「人一倍寒がりやで、またスキイの面白味も知らない私である。冬はあまり有難くない。これを「春遠からじ」に近い気持ちで待っているのは、全く星のためである」(野尻抱影『星座風景』研究社、1931年)。
冬来たりなば 春遠からじ
2023年の立春は2月4日。
画像は1月最後の月。 雪雲に覆われて月すら見ることが叶わなかったが、ようやく叶った観望。
2023年1月31日の正午月齢は9.3
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