平成16年9月に岩木町葛原地区に呼んでいただき、コンサートをした時のエピソード。
毎日忙しく農作業に励んでいる地区の皆さんに、宵宮であるこの日にサエラを聴いて楽しんでもらいたい
という主旨。企画した方は地元の主婦で、当時公民館長をしていた田村さんでした。
というわけで、会場は葛原健康増進センターという、地域に最もなじみのある集会所でアットホームな場所。
畳のお部屋でステージなし。老若男女思い思いにふすまや壁によっかかったり、足を投げ出したり、
とてもくつろげる空間なのです。
田村さんはじめ、何人かの主婦の方は手作りポスターを配るなど、コンサートに向けて張り切っていました。
ところがコンサートの2日前、なんと台風がきたのです。
りんごや農作物に大きな被害を受けたため、もしかしたら中止かなと思い、連絡を待っていました。
そして次の日、田村さんからいただいた連絡では、やはり皆さんかなり力を落としていて、とてもコンサート
を聴く気分ではないと。
でも皆で話し合ってるうちに「だからって今の状況が変わるわけでもないんだから、せめてコンサートを
聴いて元気になろうじゃないかという前向きな結論が出ました」とのうれしい知らせ。
皆さんを元気にできるかどうかプレッシャーはありましたが、とにかく精一杯やらせていただこうと
張り切って出かけました。
気合を入れて会場に入った瞬間、「待ってました!」と言っているかのようなあったかーい空気と拍手に
包まれ、思わず涙が溢れてしまいました。
一緒に歌ってくださる方や、トークに混じる方、おひねりを私の胸の中に突っ込むおば様、ホントに最後
まで楽しい時間でした。
たくさんの方に「来てよかった、頑張って!」と声をかけていただいた上、打上げでは地元で採れた美味
しいものをたくさんごちそうになりました。(しかも野菜のお土産付き)結局皆さんを元気にしようと思って
いた私たちが、今回も皆さんから元気をいただいて帰りました。
葛原の皆さん、ありがとうございました。
あなたのお近くでも、このような場所がありましたらぜひ声をかけてください。
「普段着のままコンサートが聴ける」というのはいかがでしょうか!
※ 上の写真、まるで本物のお山を背に演奏しているかのようでしょ?
実はこの岩木山、驚くなかれブルーシートに描かれた物。
黄金色の田んぼも岩木山もホントにみごとですよねぇ。