気になっていた家
この間から気分を変えて、散歩はバス通りの向こう側のいつもとは違うコースを開拓している。 この辺りは広い広い住宅地で、 どこまでいっても車はそう多くなく、ゆっくりした気分で歩けるのがいい。 空気がさっぱりと乾いて、日差しが心地いい。 雲ひとつない青空を眺めると、「あー、秋だなぁー」と心から嬉しくなる。
大きな溜池の脇の病院に「レークサイド◯◯クリニック」と看板が出ている。 「これ、レークかね~。どうみても溜池だよね」と笑いながら夫がいう。 「今日は亀がいないね」「ほんとだ、どこかに隠れてるのかな」 この間は、親亀、子亀が全部で10匹ほど水面に顔をのぞかせて泳いでいたのだ。 親指ほどの小さな子亀が懸命に短い手足を掻いて泳ぐのが愛らしかった。
ゆるやかにカーブしながら上っていく坂道の先に、 この間から気になっていた家が見えてきた。 古い立派な日本家屋だ。 小さな石段の前に、「今日のメニュー」なる看板が立ててある。 コーヒー・紅茶が150円。「安いね、入ってみようか」 竹を組んだシャレた塀の奥が玄関だ。
中に入るとすぐが和室。 押入れが本棚に改造され、子供用の絵本やアンパンマンの人形などがいっぱい並んでいる。 隣が広いリビング。ふすまは外され、どの部屋も明るく広い。 庭には大きな楓がゆっくり枝を広げ、苔むした地面にはツワブキが黄色い花を咲かせている。
ツッピン、ツッピン、・・・夫が楓に目を凝らす。 「あ、あれだ!」 頬が白い。背中は黒くて胸が白い。尾がすっと長い。 「ホオジロ?」「いや、シジュウカラだろ」 家に帰ってからネットで調べたら、シジュウカラ、夫が正解だった。 そうかぁ、ツッピン、ツッピン、近所の林でよく聞くあれは、シジュウカラだったのね。
奥の台所の隣の部屋がギャラリーだ。手作りのセーターや服、小物などが並べてある。 どれもとても安い。1週ごとに入れ替えるのだとか。 近所の主婦(らしい人?)が2人、ケーキとコーヒーを前に、おしゃべりの真っ最中。
リビングに戻って、運ばれてきたコーヒーを飲む。大きめの器にゆったりはいっている。 コーヒー好きの私たち夫婦にはこのたっぷり感が嬉しい。
いつもの倍の散歩時間。思いがけない寄り道だったけど、いい時間を過ごせた。
2019-11-06 12:07 in 日常
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