少しづづ秋の気配を感じるたおやかな風が作業台を吹き抜ける
ふと仕事の手を休めて見上げる空の青さ 水色とも青とも蒼とも違う秋色の空
10月生まれとは無関係にしても秋は一年で一番大好きな季節
日高の暮らしには都会の喧騒も華やかさもないけれど
緩やかに流れる時間に身を置くといつしか心も静かに静かに時を刻む
母のいる施設の窓からは遠くに秩父の山並みの景色が額縁のように切り取られ
無機質なコンクリートの壁を和らげてくれるかのように風に木々が揺れている
明日という日
わたしたちを取り巻く自然環境の中で 必ず 来るという確証はない
だからこそいまを丁寧に生きるという意味が問われるのかもしれない
母のつぶやく声にならない声の中に
ありがとうともごめんねともとれるような小さな声に頬擦りする
いろんな方々に支えられて今を生きられること
沢山の心配で生きるより澄んだ空気の空を見ている幸せを大切にしたい
母と見る木立の緑が目に染みるほど鮮やかで眩しい
車いすの母は前だけを見つめて振り向くことは決してない
その背中に感謝をこめて ありがとう と思う秋
歳を重ねて見えてくる 親の想い 子の想い
秋は少しだけセンチな想いの風まで運んでくる気がします