2015 06月 18日

大切な方に送るぱん



真夜中に雨音を聞きながらぱん生地を捏ねる

新潟でのぱん屋時代は不特定多数のお客様に食べていただくために

ただひたすらに毎週 週替わり で15種類ほどのぱんを焼いていた時間

時々思い出しては毎週来てくださったお客様を思い浮かべては懐かしむ

日高に転居して早いもので1年と3か月

見知らぬ土地で心が押しつぶされそうな時 支えてくれたのはぱん作り時間

いまはこの地に根を下ろし粉粉ぱんを待っていてくださる方々のために

おひとりおひとりの食べてくださる方々のお顔を心に留めながら

ぱんを焼ける幸せを手にすることが出来たこと

沢山の方々に心からありがとうの想いでぱんを焼く

ぱん生地に 自分の驕り 未熟さ をたしなめられているようで

真っ直ぐに ただ真っ直ぐにぱんと向かいあうことの大切さを学ぶ日々

へたに技巧に走るより心穏やかに幸せな気持ちでいることが一番と教えられる

四季折々の 気温 湿度 数量 副材料の仕込み check pointなどなど

キッチン工房 粉粉のお客様が毎週ご予約くださった5年分のご予約ノート3冊

食べてくださる方の真剣な眼差しがあったこと

作り手の総ての想いがたった1個のぱんに託されたこと

そこから紡がれた沢山のご縁  

ぱん作り人の幸せは計り知れない重みとなりました


新潟県新発田市は母とわたしの故郷 無花果とさくらんぼの里 

それをご存知の新潟の生徒さんが毎年送ってくださるさくらんぼです

母の写真に一粒 わたしに一粒を繰り返し 両手いっぱいの幸せをいただきました

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