2016年3月30日 (Wed)

ブレッドボード



15年程前に友人がパリの蚤の市で見つけお土産にいただいたカッテングボード
いただいた時にはすでに使い込まれていい感じだったけれど
更に風合いがまして使い勝手もとてもいい感じに

日本のまな板と違うのはギザギザのブレッドナイフの刃先が
ぱんをスライスする際に縦の溝に収まって傷がつき難く
開いた溝にぱん屑が落ちる仕組み
さすがぱんが主食のお国柄の偉大なる知恵

どれだけの年月を旅して
わたしの元に来たのかを計る術はないけれど
丁寧に作られた手仕事の佇まいの美しさに見惚れる

物も出会い方ひとつで生かされる
沢山の物と別れて本当に好きな物だけに囲まれて
暮らすことの意味は人それぞれ

暮らしの道具との付き合い方
カッテングボードの浅深傷跡も小さな歴史を刻んで行く
焼き上がったぱんを好みの厚さにわくわくしながらカットする楽しみ
器械とはまた違った味わい深さがある


電動のスライサーは殆ど食ぱん専用、10年連れ添った宝物
手入れを怠るとご機嫌斜めになるのも持ち主に似ている気がします
2016-03-30 19:51 in | Comments (2) #

2016年3月27日 (Sun)

カンパーニュ



シンプルなぱんほど難しく  シンプルなぱんが一番美味しい
それを教えてくれたのがカンパーニュ
バリエーションは幾通りもあるけれど
何も足さないほうが粉の香りを楽しめ和の食材との相性も良い

発酵した生地を出来るだけ傷めないように成型し
バヌトンという型に入れて仕上げ発酵

生地が傷んだら少し長めの仕上げ発酵
ガスが綺麗に抜けた生地は少々短めの発酵
発酵時間 焼成温度 クープ(切れ目)の深さを
触った生地の感触から判断するアナログスタイル
技量を駆使して頑張るという作業から
敢えて引き算のぱん作りはまるで難解なパズルのひもとき

一人で作るぱん時間は作り手であり
みんなで作るぱん時間には伝え手になる

作り手の手の温度と成型のスピードと力加減
それぞれに合わせて少しだけ足したり 引いたり

作り手と伝え手
それが優しいぱん作りへと繋がっていく

昨日のぱん 今日のぱん 明日のぱん
それぞれにみんな違ってみんな新しい

美味しいぱんと優しいぱん
作り手の気持ちを試されているような気がします
2016-03-27 23:52 in | Comments (2) #

2016年3月24日 (Thu)

甘酒


新潟は米どころ

有名な酒蔵も沢山あって酒粕の種類も豊富

甘酒作りの名人も回りにいたせいもあって自分で作ることは皆無でした

ここ日高でも酒蔵はあるものの酒粕や麹はやっぱり新潟産が一番

時々友人が送ってくれるので甘酒に挑戦 。。。。 したものの

味が何とも友人が作るものとは全く別物の甘酒もどき

やっぱり思いつきで作ってもその道何十年の味には到底かなうわけもなく

あえなく甘酒作りは一カ月で強制終了でした

先日ぱん教室の生徒さんが持ってきてくださった砂糖不使用の甘酒

麹のみで作られていてすっきりとした飲みきりサイズ

わたしの甘酒作り失敗談を知ってか知らずか嬉しいいただき物でした
2016-03-24 23:40 in | Comments (4) #

2016年3月20日 (Sun)

道具の価値観



たかが道具  されど道具

20年前ご自宅でぱん教室をやられていた先生にぱんの基礎を教えていただき
お道具も初心者向きの必要最低限度を揃えてスタートしたぱん作り
少しづづ色んなお道具が増えてぱん作りが楽しかった

その後 天然酵母ぱん ピッコリーノの伊藤幹雄先生に師事

今まで使ってきたコンベンションタイプのガスオーブンでは
長時間低温発酵のぱん生地が上手く焼きあがらない
食ぱん型やオーブンの天板に剥離剤を塗らないと生地離れが悪い
天然酵母ぱん作りの最初の段階で暗礁に乗り上げた

宿題の食ぱんの表面が擦れたり膨らみが悪かったり試行錯誤の繰り返し
意気消沈のわたしを見かねて師匠が助け舟
「自分の技量が未熟な分 いい道具といい食材に助けて貰いなさい」の一言

まず清水の舞台から100回落ちる気持ちでオーブンを取り換えた
安価なアルミの食ぱん型と天板を剥離剤不要の物に交換した
すると今までのぱん作りは一体何だったんだろうと思うるほど違ったものに
本当に目からうろこがどれほど落ちたのか 。。。。。
あの時の感動は今でも鮮明に蘇る

道具は大事
いい道具に助けて貰う有り難さを学びました

この霧吹きはその時 伊藤先生にお願いして取り寄せていただいた同型品
当時 びっくりするほど高価であったけれど優秀品だった
以前の物は使いすぎて霧が出にくくなったので10年目にして交換

プロのお道具は確かに高価であるけれど
確実に不安定な自分の腕よりいい仕上がりに導いてくれる

師匠から学んだことはぱん作りだけではなく
食材の選び方 組み合わせ 彩りだけにとどまらず  
暮らしの全てを丁寧に生きることまで多岐に及んだ

80歳を超えられても現役でぱんの道に邁進されておられる師匠
人には運命を変える出会いが必ずあること
たった一個のぱんに人生を変える力があったこと
毎日の小さな積み重ねが何より大事
迷ったら初心に帰ろう

もうすぐピッコリーノの新しい工房が高崎にオープンします

2016-03-20 15:51 in | Comments (8) #

2016年3月17日 (Thu)

無農薬野菜



日高ではごくごく普通に無農薬野菜を作っていられる方が多く
畑の隅っこやご自宅の庭先に収穫したばかりの野菜が並べられていたり
無人の販売所に大豆や味噌を並べている光景も珍しくはない

本日ご近所さんからいただいたのはわさび菜と瑞々しいキャベツ
「わさび菜はツナとマヨネーズで和えると美味しいですよ」
食べ方付のお福分け

ブロッコリーやほうれん草や里芋はいただくことが多いので
最近農協直売所で買うのは自然卵と地元の苺や根菜類
必然的に食卓に並ぶのはお野菜中心

収穫したばかりのお野菜は甘味があるので調味料も不要なくらい
たっぷりのだし汁の中でゆらゆら揺れてお野菜たちも気持ちよさそう


キャベツも荒切にして地元で採れたなたね油で炒め味付けは出汁醤油のみ
それをシンプルな田舎ぱんの薄切り乗せてランチです

日高の春はのんびりゆったり
道行く人もコートを脱いでゆるりゆるり
灯りが燈る夕餉の時間 
明日も良い日でありますように
2016-03-17 00:48 in | Comments (4) #

2016年3月13日 (Sun)

ミモザ



昨日 ぱん教室の生徒さんが持ってきてくださった庭先のミモザ
玄関にある自転車の籠にそっと置いてくださった細やかなお気遣い
朝からバタバタの時間を過ごしお礼もちゃんと言えなくてごめんなさい
暫くこのまま飾って楽しませていただこうと思います


本日のレッスンも和気あいあい
小さく丸めた生地に粒餡を詰める作業に奮闘の方
ベーグルを茹でる作業を楽しんでいる方

そんな楽し気な気配を感じながら
オーブンの中のぱんを気にしつつランチの支度

本日のメニューは
マッシュルームのマヨグラタン
レンズ豆のミネストローネ
春のフルーツマリネとお紅茶
試食ぱんはみなさんで丸めたプレーンベーグルとフランスパン

色んな話があっちに飛び こっちに飛び 美味しい話で締めくくり
今日もごちそうさまの一日でした
2016-03-13 17:04 in | Comments (2) #

2016年3月9日 (Wed)

灯り



昨夜から降り続いた冷たい雨に気温も下がりヒーターと仲良し
何時もなら眩しいくらいに陽が差す部屋に灯りがともる

たおやかにゆっくりと流れる時間を照らす電灯色の灯り
一日この灯りの下で本を片手に過ごす時間
雨に打たれたミモザの花を見ながら過ごす日もかなり好きだと思う


今日の粉粉ぱんはレーズンアーモンド
生地に対してたっぷり50%のレーズンを捏ねあがった生地に
少しづづ加えてたたみ込み作業を繰り返す

最初から粉と一緒に捏ねれば簡単な作業
けれど仕上がりのレーズンが潰れてしまい味も見た目も悪くなるので
面倒でも手作業でゆっくり時間をかけて包み込んでいく
雨の日はそんな作業がより楽しく感じられて優しい気持ちになれる気がする

何事も丁寧に行うべき作業には必ず意味がある事
暮らしもぱん作りも基本は同じ
分かっていても先を急ぐあまり小さな変化を見落としてしまいがち
反省しつつまた急ぐ

そんな暮らしの真ん中で途方に暮れることもしばしば
立ち止まってあたりをキョロキョロ小休止
日高暮らし二年目の春を迎えました
2016-03-09 14:24 in | Comments (4) #

2016年3月6日 (Sun)

春のまどろみ



日高に春の訪れ
華はいつもの定位置で道行く人を眺めながらうつらうつら
キッチンから美味しそうな匂いがすると
半分寝ぼけた顔で細目を開け様子うかがい
つられてうつらうつらしそうになるのが何時ものこと
やりかけの仕事の手は止まったまま
春の日差しの中で思考力は完全ストップ
溜まった仕事は明日に回し 
取りあえず今日はのんびりと 
そんな暮らしのエンドレス
春の誘惑に負けてばかりの暮らしです


東京世田谷の花屋 花子さん に作っていただいたミモザのリース

3月8日は、『ミモザの日』
イタリアでは、男性から女性へ日ごろの感謝の気持ちをこめて
ミモザを贈る習慣があるそうです

日高もあちらこちらにミモザが咲き始め
我が家の裏庭に植えた50センチほどの木にも可愛い花が付き始めました
2016-03-06 23:45 in | Comments (6) #

2016年3月2日 (Wed)

夕暮れの飾り窓



我が家で唯一の飾り窓は階段の踊り場
窓辺もすっかり春
新潟から一緒に引っ越してきた可愛い置物たちの居場所

友人のエジプト土産の古い木彫りのお人形
キッチン工房 粉粉オープンの際にお客様から戴いた赤いフクロウ
30年以上前に名前も忘れてしまった田舎の骨董屋で出会った仏像
港町 新潟柏崎の骨董屋さんの片隅にあった古伊万里の香炉 
祖父からもらった中国の古い香炉
どこで出会ったのかすっかり忘れてしまった古九谷のミニ花瓶

ひとつひとつに思い入れがあって
ひとつひとつに違う年代があって
ひとつひとつが愛おしい

何処から来たのか どんな旅をして来たのか
春の窓辺で寄り添っている景色
見ているだけでぬくぬく温かい気持ちになれる小さな宝物


ロールカーテンにぶら下がっているのはひょうきんなキーホルダー
ぱん屋のお客様 高校生のお嬢さんから閉店の際にいただいたもの

見渡すとあちらこちらに鎮座しているほっと心和ませてくれる小さな宝物
手の中にすっぱりと納まってしまいそうな物達ばかり

一日の始まりに  一日の終わりに
そっと見ていてくれる我が家のお守りです
2016-03-02 20:28 in | Comments (4) #