真夜中に雨音を聞きながらぱん生地を捏ねる
新潟でのぱん屋時代は不特定多数のお客様に食べていただくために
ただひたすらに毎週 週替わり で15種類ほどのぱんを焼いていた時間
時々思い出しては毎週来てくださったお客様を思い浮かべては懐かしむ
日高に転居して早いもので1年と3か月
見知らぬ土地で心が押しつぶされそうな時 支えてくれたのはぱん作り時間
いまはこの地に根を下ろし粉粉ぱんを待っていてくださる方々のために
おひとりおひとりの食べてくださる方々のお顔を心に留めながら
ぱんを焼ける幸せを手にすることが出来たこと
沢山の方々に心からありがとうの想いでぱんを焼く
ぱん生地に 自分の驕り 未熟さ をたしなめられているようで
真っ直ぐに ただ真っ直ぐにぱんと向かいあうことの大切さを学ぶ日々
へたに技巧に走るより心穏やかに幸せな気持ちでいることが一番と教えられる
四季折々の 気温 湿度 数量 副材料の仕込み check pointなどなど
キッチン工房 粉粉のお客様が毎週ご予約くださった5年分のご予約ノート3冊
食べてくださる方の真剣な眼差しがあったこと
作り手の総ての想いがたった1個のぱんに託されたこと
そこから紡がれた沢山のご縁
ぱん作り人の幸せは計り知れない重みとなりました
新潟県新発田市は母とわたしの故郷 無花果とさくらんぼの里
それをご存知の新潟の生徒さんが毎年送ってくださるさくらんぼです
母の写真に一粒 わたしに一粒を繰り返し 両手いっぱいの幸せをいただきました